レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
1963年6月11日に、当時南ベトナムのゴ・ディン・ジエム政権が行っていた仏教徒に対する高圧的な政策に対して抗議するため、ベトナムの僧侶ティック・クアン・ドックはサイゴン(現・ホーチミン市)のアメリカ大使館前で自らガソリンをかぶって焼身自殺した。
彼は支援者たちが拝跪する中、燃え上がる炎の中でも蓮華坐を続け、普通なら焼身自殺は口腔内の酸素も焼き、肺や喉を焼き爛れさせるため激痛で暴れ回るのが常であるのだが一切苦悶の表情や声を出さず絶命するまでその姿を崩さなかった。
その姿はカメラを通じて全世界に放映された。この衝撃的な事件が世界中に放映され、国内の仏教徒だけでなく世界中の反戦主義者に大きな影響を与えることとなった。
アメリカ人ジャーナリストのマルコム・ブラウンが撮影した焼身自殺の写真は、1963年度の世界報道写真コンテストでグランプリを受賞した。
ロックファンならこの衝撃的な写真を見たらまず思い浮かべるのはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンである。
「レッド・ツェッペリンとパブリック・エナミーの融合」と呼ばれる特徴的なサウンドと、マルコムX、チェ・ゲバラ、マーチン・ルーサー・キング・ジュニアなどから思想的影響を受けた政治メッセージを持つ歌詞。
彼らのライヴにおいてはしばしばゲバラの肖像画が掲げられ、アンプの前などに星条旗が逆さまに吊るされ、ムミア・アブ・ジャマールの釈放を求めたり、無料の反戦コンサートを開いたりなど、音楽の枠にとどまらず実際に政治活動も行っている。
そう彼らのファーストアルバムのジャケットに使われたのがこの写真である。
by sublime43lb
| 2013-02-08 05:26
| 音楽